収益化に影響!? YouTube コンテンツIDの仕組みとデメリット

YouTube でBGMなど音楽を使っている人は知っておくべきコンテンツID(Content ID)の仕組みや、他ではあまり伝えられていないデメリットについてご紹介いたします。
以前投稿したこちら「YouTube 登録者0人で即収益化!話題の楽曲収益とは?」でもコンテンツIDに関連するご質問をいくつかいただきましたが、コンテンツIDのデメリットについて知らない方が多いように感じたので、その点も解説していきます。
動画でもご紹介しています!
目次
YouTube のコンテンツIDの仕組みとは
さて、YouTube のコンテンツIDがどのようなものかご存知でしょうか?
YouTube コンテンツIDは、動画や音楽の著作権を守るためのシステムです。 映画会社やレコード会社、楽曲作成者などの著作権を持っている人が、自分の作品(映画や音楽など)を YouTube に登録します。日本であれば JASRAC、以前ご紹介した楽曲配信サービスなどが、権利者を代行して YouTube に登録することが多いです。
誰かが YouTube に動画をアップロードすると、コンテンツIDのシステムがその動画をチェックします。もし、コンテンツIDに登録された作品と似ていたり、合致する動画を見つけたら、申し立てが自動的に生成されます。つまり、著作権者の手動によるチェックなどがない状態で、あらかじめ設定された処理がされるようになっています。
コンテンツIDの処理
その処理も3パターンあります。
まず1つ目が「ブロック」です。
その動画は YouTube 上でブロックされ視聴できなくなります。全世界でブロックされることも、特定の国や地域でだけでブロックされることもあります。
2つ目が「収益化」です。
本来、動画を投稿したクリエイターに支払われる収益が著作権者に支払われるようになります。 YouTube Studio では動画の収益化部分が[利用不可]と表示され、動画を収益化することができずクリエイターに収益が支払われなくなります。
3つ目が「トラッキング」です。これは、どのような動画なのか、どれくらい再生されているのかなどの統計情報を追跡することができる設定です。
ショート動画の場合
コンテンツIDの申し立てを受けるのは長尺動画だけではありません。ショート動画もその対象となります。
ショート動画の場合、楽曲を追加する方法が2つあります。
1つ目が YouTube アプリからショート動画を作成する際に[サウンドを追加]から楽曲を選択して追加する方法です。この方法で追加した場合はコンテンツIDの申し立てを受けません。
2つ目の方法が、長尺動画のように動画作成時に楽曲を追加しておき、ショート動画として投稿する方法です。この場合はコンテンツIDに検知される楽曲が使用されていれば申し立てを受けます。
コンテンツIDの通知が来ても焦る必要はない
コンテンツIDの仕組みを知らない人だと、コンテンツIDの通知が来て焦ってしまう方がいますが、焦る必要はありません。コンテンツIDは検知されただけではチャンネルのステータスに影響しません。つまり、何かのポリシー違反やガイドライン違反としてカウントされているわけではありませんし、著作権侵害の警告でもありません。
そのため、コンテンツIDは検知されただけでチャンネルが停止になったり、YouTube パートナープログラムから外されることはありません。
コンテンツIDへの対処方法
もし投稿した動画に対してコンテンツIDに検知された場合、クリエイターが行える対処方法は3パターンあります。
何もしない
1つ目が「何もしない」です。例えば、有名なアーティストの楽曲を使って「歌ってみた」や「踊ってみた」の動画を投稿しているような場合、申し立てられた内容に間違いがないのであれば、何もせず放置する選択肢があります。つまり、コンテンツIDの申し立てを受け入れるということです。
先ほどもお伝えしたように、チャンネルのステータスには影響しないので何もしないことを選択しても構いません。
申し立てを受けたコンテンツを削除する
2つ目は「申し立てを受けたコンテンツを削除する」です。例えば動画内に意図せず有名なアーティストの曲が入り込んでしまった場合など、その曲が流れている部分だけを消すことでコンテンツIDの申し立てを解消することができます。
YouTube Studio [コンテンツ]から[著作権]の部分にマウスを持っていくと表示される[詳細を表示]から[操作を選択]をクリックします。
クリエイターができる選択肢が表示されます。
- [曲を消去する]は、会話などの音声を除いて検知された曲だけを削除したり、すべての音声をミュートにすることができるものです。飲食店などの撮影で、BGM が入り込んでしまった場合などに使えますね。
- [他の曲に換える]は、検知された曲の代わりに YouTube オーディオライブラリの曲を使用する方法です。
- [セグメントをカットする]は、検知された曲が含まれる部分をカットする(削除する)ものです。動画の流れが不自然にならなければカットすることもありかと思います。
異議申し立て
[異議申し立て]が3つ目のパターンです。例えば、自分が作曲した曲に対して申し立てが来たり、権利者から許可を得ているものに申し立てが来た場合など、正当な理由があれば異議申し立てを行うことができます。
著作権侵害の警告になるケース
次に著作権侵害の警告になるケースを見ていきましょう。コンテンツIDに検知されてもチャンネルのステータスに影響がないというのはその通りですが、著作権侵害の警告に発展してステータスに影響が出ることもあります。
著作権者は、コンテンツIDで申し立てた動画に対する処理を後で変更することが可能です。先ほどご紹介した「ブロック」「収益化」「トラッキング」ですね。例えば、最初はトラッキングの処理にしておき、著作権者の意図した使われ方をしていない場合はブロックしたり、著作権侵害の申し立てをすることも可能です。
よくあるのが、BGM 素材の配布サイトで提供されている曲を使った場合です。曲を改変したり、曲をメインコンテンツとして使用したりするなど、BGM 素材配布サイト側の利用規約に違反するような使い方をしている場合、コンテンツIDの検知を超えて著作権侵害の警告に発展することがあります。
BGM についてはこちらでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
JASRAC に管理されている楽曲であれば、CD の音源そのままを使用することは許可されていません。「歌ってみた」などで使用したければ、曲を自分で演奏・制作する必要があります。もし CD の音源をそのまま使用していた場合、最初はコンテンツIDによって検知されるだけでしょうが、後々に音源製作者(レコード会社等)から著作権侵害の申し立てを受ける可能性があります。
こちらは JASRAC のホームページに掲載されている図です。JASRAC 管轄の楽曲を使う場合はよく確認しましょう。
コンテンツID:3つのデメリット
著作権侵害の警告を受けなくても、実はコンテンツIDの申し立てを受けることには3つのデメリットがあります。
動画の収益化ができない
1つ目が先ほどもご紹介した収益化の問題です。コンテンツIDの申し立てを受けた動画では、クリエイターが収益を受け取れないことが多いです。
どれだけ再生回数が多くなっても、収益化が[利用不可]となっていれば1円も収益を受け取ることができません。広告収益を目的としている方であれば、動画が収益化できないことは大きなデメリットになりますね。
Super Thanks を利用できない
2つ目のデメリットは「Super Thanks」を利用できないことです。Super Thanks は視聴者からの投げ銭機能で、動画ページから金額を選択して送信することができます。視聴者が直接クリエイターを支援できる機能で、Super Thanks を送ってもらえるとクリエイターとしてはとても嬉しいですね。
ただ、Super Thanks にはいくつか利用資格や制限があります。例えば、子供向けチャンネルや子供向け動画、年齢制限ありの動画では利用できません。そして「コンテンツIDの申し立てが行われている長尺動画またはショート動画」も利用できないとSuper Thanks に関するヘルプページに記載されています。
そのため、コンテンツIDの申し立てを受けている動画は Super Thanks が表示されないのでご注意ください。
チャンネルメンバーシップを利用できない可能性
3つ目のデメリットはチャンネルメンバーシップを利用できなくなる可能性があることです。チャンネルメンバーシップは視聴者が月額料金を支払うことでチャンネルのメンバーとなり、特典を受けることができる機能です。クリエイターと視聴者が、より繋がりを感じたり、コミュニケーションを形成するために今後も重要視される機能です。
ですが、チャンネルメンバーシップも利用資格があり、チャンネルメンバーシップに関するヘルプページには次のように記載されています。
子ども向けとして指定されている動画、または音楽に関する申し立てが行われている動画は、メンバーシップ対象外と判断されます。
この「音楽に関する申し立て」がコンテンツIDによる申し立てのことを示しています。「一定数」というのが何割なのか明確にはなっていませんが、チャンネル内にコンテンツIDの申し立てを受けている動画が多くなるとメンバーシップ機能を使えなくなる可能性があります。
実は「チャンネルの収益化ができて広告は有効になったのに、チャンネルメンバーシップを利用できない」と相談を受けることが度々あります。チャンネルを見てみると、歌ってみた系の動画が多かったり、音楽チャンネルであったりと、コンテンツIDの申し立てを受けている動画が多いのが特徴としてありました。
YouTube コンテンツID のまとめ
- 投稿した動画に含まれる映像や音楽が YouTubeでチェックされ、コンテンツIDに登録されている作品と似ていたり、合致すると自動的に申し立てが行われる。
- 申し立てが行われると「ブロック」「収益化」「トラッキング」のいずれかの処理が行われ、動画が視聴されなくなったり、収益が受け取れなくなる可能性があります。
- 申し立てが行われてもチャンネルのステータスに影響しません。
- 著作権者の意図しないコンテンツの使い方をしていると、著作権侵害の警告を受ける可能性があります。
- コンテンツIDにはデメリットがあり、動画の収益化ができない、Super Thanks を利用できない、チャンネルメンバーシップを有効にできなくなる可能性があります。