子供にGPSは必要?AirTagやGPSトラッカーとの違い&徹底比較

子どもの安全、AirTagだけで大丈夫? GPSトラッカーとの違い&徹底比較
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2025年04月09日 in Apple
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「うちの子も、小学生。一人で登下校させるのは少し心配…」
「友達と公園で遊ぶ時間も増えたけど、ちゃんと帰ってくるか気になる…」

我が家にも3人の子どもがいるので、お子さんの安全を願う保護者の皆さんの気持ちはよく分かります。

見守りツールの選択肢として挙げられる GPS トラッカーと Apple の AirTag(エアタグ)。「AirTagって実際どうなの?」「GPSとどっちがいい?」。そんな保護者の疑問に、AirTag ユーザーの視点も交えて徹底解説します!

Apple AirTag とは?「探し物」のプロ、見守りに使える?

まず、 AirTag がどのような製品か見ていきましょう。 Apple のウェブサイトでも「持ち物をあっという間に見つけ出す、とても簡単な方法」と紹介されている通り、 AirTag は本来、鍵や財布、カバンといった「なくしやすい個人の持ち物」の紛失を防ぐために開発されました。

Apple AirTag(エアタグ)
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AirTag はどうやって位置を特定するの?

AirTag の仕組みは、主に2つの技術に基づいています。

1. Bluetooth で近くを探す

AirTag は、自身の近く(約10~30メートル程度)にある iPhone や iPad などの Apple デバイスと Bluetooth で通信します。

AirTag の仕組み

もしお子さんが AirTag を持っていて、あなたの iPhone の Bluetooth 範囲内にいれば、「探す」アプリから AirTag の音を鳴らしたり、対応する iPhone ( iPhone 11 以降の一部モデル)であれば「正確な場所を見つける」機能を使って、 AirTag のある方向と距離を矢印で示してくれたりします。家の中で「どこに置いたっけ?」という時には便利な機能です。

2. 広大な「探す」ネットワークで遠くを探す

では、 Bluetooth の範囲外に出てしまったらどうなるのでしょうか? ここで活躍するのが、世界中に存在する数億台もの Apple デバイスで構成される「探す」ネットワークです。

もしお子さんが AirTag を持っていて、他の誰かの iPhone や iPad の近くを通ると、そのデバイスが AirTag の信号を匿名でキャッチ。その位置情報が暗号化されて Apple のサーバーに送られ、持ち主であるあなたの「探す」アプリにだけ表示される仕組みです。

AirTag で学校にいるか検知

この仕組みにより、「学校に着いたかな?」「今、通学路のどのあたりかな?」といった大まかな位置把握が可能になります。

AirTag の魅力:手軽さ、コスト、そしてコンパクトさ

AirTag が見守りツールの選択肢として考えられる背景には、いくつかの魅力的な点があります。実は、我が家では AirTag をシリコンケースに入れランドセルに付けて登校させています。
AirTag をランドセルに付けて登校

  • 導入しやすい価格
    1個あたり数千円から購入可能で、専用 GPS トラッカーと比較して初期費用を抑えられます。
  • 維持費がかからない
    多くの GPS トラッカーで必要となる月額の通信料やサービス利用料が不要です。
  • 驚きのバッテリー寿命
    一般的な使い方であれば、市販のコイン電池( CR2032 )1つで約1年間も持ちます。電池交換も自分で簡単にできるため、充電の手間もありません。
    YouTube で AirTag の電池交換の手順を紹介しています。
  • Apple ユーザーなら設定も簡単
    iPhone ユーザーであれば、「探す」アプリとの連携は非常にスムーズ。複雑な設定なしに、すぐに使い始めることができます。
  • コンパクトで荷物にならない
    500円玉より少し大きいくらいのサイズと軽さは、 AirTag の大きなメリットです。ランドセルやカバンに入れてもかさばらず、お子さんの負担になりにくい点は、 GPS トラッカーと比較して優れているポイントと言えるでしょう。

子どもの見守りにおける AirTag の限界点と注意点

手軽で便利な AirTag ですが、子どもの安全を守るという観点から見ると、理解しておくべき限界点や注意点も存在します。

「今どこ?」のリアルタイム性と精度

AirTag の最大の特性は、位置情報が「リアルタイムではない」ことです。位置情報が更新されるのは、あくまで AirTag の近くを他の Apple デバイスが通りかかった時だけ。

そのため、「お子さんが今まさに、ピンポイントでどこにいるのか」を正確に把握することは困難です。「学校にいるか、登下校中か」といった大まかな状況把握には役立つものの、「迷子になったかも!」という緊急時に、即座に正確な居場所を特定したい場合には、情報更新のタイムラグや精度の限界を感じる可能性があります。

特に、移動中や、人が少なく Apple デバイスの利用者も少ない郊外や山間部などでは、「探す」ネットワークによる検出が難しくなり、位置情報の更新が大幅に遅れたり、全く更新されなかったりする可能性が高まります。

子どもからの SOS 発信ができない

万が一、お子さんが危険を感じたり、助けが必要になったりした場合でも、 AirTag には SOS ボタンのような機能はありません。お子さん自身から能動的に危険を知らせる手段がない点は、大きな違いです。

「ここから出たら教えて」ができない(ジオフェンス機能なし)

専用 GPS トラッカーの多くに搭載されている「ジオフェンス」機能がありません。「学校の敷地から出たら通知する」といった設定はできません。

直接のコミュニケーション手段がない

AirTag を通じてお子さんと通話したり、メッセージを送ったりすることはできません。Apple 自身も AirTag は「持ち物を追跡するためのデバイスであり、人やペットの追跡を意図したものではない」としています。これらの特性を理解した上で、「自分の家庭の見守りの目的に合っているか」を判断することが重要です。

子ども用GPSトラッカーとは?「子どもの安全」に特化

一方、子ども向け GPS トラッカーは、その名の通り、「子どもの安全を守り、保護者が安心して見守れるように」という目的のために特別に開発された製品です。腕時計型やキーホルダー型など、様々な形状があります。

GPS トラッカーはどうやって位置を特定・通知するの?

GPS トラッカーは、より確実な見守りを実現するために、複数の技術を組み合わせています。

  1. GPS 衛星で正確な位置を測位
    上空にある GPS 衛星からの電波を利用し、地球上のどこにいるかを高い精度で特定します。
  2. 携帯電話回線で情報をリアルタイム送信
    特定した位置情報や SOS 通知などを、内蔵 SIM を通じて携帯電話回線(主に 4G LTE )を使い、保護者のスマホアプリなどに送信します。これにより、広範囲で、かつリアルタイムに近い(製品によっては数秒~数十秒ごと)位置情報の確認が可能になります。

GPS トラッカーが「見守りのプロ」である理由

子ども向け GPS トラッカーには、 AirTag にはない、子どもの安全確保に特化した機能が数多く搭載されています。

GPS トラッカー
  • 「今どこ?」がリアルタイムでわかる信頼性
    GPS と携帯電話回線により、お子さんの現在地を高い精度で継続的に把握できます。万が一の際の迅速な状況把握に繋がります。
  • いざという時の「 SOS ボタン」
    多くの機種に搭載。子ども自身が危険を知らせることができます。
  • 行動範囲を見守る「ジオフェンス機能」
    指定エリアへの出入りを通知。異変に気づきやすくなります。
  • コミュニケーション機能で安心感をプラス(一部機種)
    直接通話やメッセージ機能で、親子双方の安心感につながります。
  • 子どもが使いやすい工夫
    防水・防塵、耐衝撃性など、日常使いを考慮した設計がされています。

GPS トラッカー導入の際に考慮すべき点

高機能な GPS トラッカーですが、導入にあたっては以下の点を考慮する必要があります。

  • コストがかかる(初期費用+月額料金)
    AirTag に比べ端末価格が高めで、月額の通信・サービス利用料が必要です。
  • 充電の手間がかかる
    バッテリー消耗は AirTag より早く、数日~1週間程度での充電が必要な場合が多い。
  • サイズや重さ
    AirTag に比べると、ややサイズが大きく重い機種もあります。
  • 設定や管理
    多機能な分、最初の設定や操作に少し手間がかかる可能性があります。

徹底比較! AirTag vs 子ども向け GPS トラッカー – あなたの家庭にはどっち?

ここまで見てきた AirTag と子ども向け GPS トラッカーの特徴を比較してみましょう。

機能・側面Apple AirTag(エアタグ)
Apple AirTag
子ども向け専用
GPS トラッカー
ポイント
主な目的紛失物の発見子どもの安全と親による見守りGPS トラッカーは安全確保が主目的。 AirTag は本来の目的が異なります。
追跡技術Bluetooth , Find My ネットワークGPS , セルラー( LTE ), Wi-Fi / Bluetooth 等GPS トラッカーの方が広範囲で安定・高精度な測位が可能。
リアルタイム追跡
(できない/不安定)

(できる/機種による)
「今すぐ正確な場所を!」という場合は GPS トラッカー。 AirTag は大まかな把握向け。
追跡範囲
( Apple デバイス密度に依存)

(携帯電波圏内)
GPS トラッカーは電波があれば広範囲で機能。 AirTag は周囲の環境に左右されます。
精度
(ネットワーク依存/大まか)

(高い/数メートル単位)
GPS トラッカーの精度は高い。 AirTag は「どのあたり」というレベル感。
SOS ボタン×
(なし)

(多くの機種に搭載)
子どもの安全機能としては GPS トラッカーに軍配。
ジオフェンス×
(なし/限定的機能のみ)

(標準機能)
特定エリアの出入りを知りたいなら GPS トラッカー。
通信機能×
(なし)

(双方向通話など/機種による)
直接連絡が必要なら GPS トラッカー(対応機種)。
バッテリー寿命
(約1年/電池交換)

(数日〜数週間/充電式が多い)
充電の手間を避けたいなら AirTag 。
コンパクトさ
(小型・軽量)

(やや大きい/重い機種も)
持ち運びやすさ、荷物にならない点は AirTag の大きなメリット。
初期費用
(安い)

(やや高い)
導入コストは AirTag が有利。
月額費用
(なし)

(必要)
ランニングコストを抑えたいなら AirTag 。

このように、それぞれにメリット・デメリットがあります。「どちらが良いか」は、一概には言えません。

先ほども記載しましたが、我が家では AirTag をランドセルに付けて登校させています。学校にいるのか、登下校中なのか、寄り道はしていないか程度のことは問題なく分かるため、特に不安に感じたことは今のところありません。

どちらを選ぶ? 大切なのは「家庭のニーズ」

さて、様々な角度から比較してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきでしょうか?

もし、あなたが「万が一の時に備え、できるだけ正確な位置情報をリアルタイムで把握したい」「子ども自身が助けを求められる機能が欲しい」「特定のエリアへの出入りを確実に知りたい」と考えるなら、子ども向けに設計された専用の GPS トラッカーが最も適しています。 初期費用や月額料金はかかりますが、それらは「確かな安心」を得るための投資と言えるでしょう。

一方で、「 GPS ほどの厳密な精度は求めない」「主に学校や通学路など、ある程度決まった範囲での大まかな居場所が分かれば良い」「月額料金は避けたい」「子どもに持たせる荷物は、できるだけコンパクトで軽いものがいい」と考えるなら、 AirTag も有効な選択肢となり得ます。 実際に、「 AirTag をランドセルに入れて、学校にいるか、登下校中かを確認するだけで十分安心できる」という方もいらっしゃいます。

ただし、 AirTag を選ぶ場合でも、その「リアルタイム性の低さ」や「 SOS 機能がない」といった限界点を十分に理解し、「その範囲で大丈夫」と判断できるかどうかが重要です。 AirTag を「補助的な見守りツール」と位置づけるのも良いかもしれません。

まとめ:最適なツールで、お子さんの成長を安心して見守ろう

大切なお子さんの安全を守るためのツール選び。 AirTag と GPS トラッカー、それぞれに良い点と限界があります。

ぜひ、この記事を参考に、「ご自身の家庭では、見守りにおいて何を最も重視するのか」「どの程度の機能があれば安心できるのか」を考え、お子さんの年齢や性格、行動範囲、そしてご家庭の状況や考え方に最も合った、「納得できる」選択をしてください。

執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。