YouTubeで切り抜き動画が収益化できない?再利用されたコンテンツに注意

YouTubeで切り抜き動画が収益化できない?再利用されたコンテンツに注意
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2021年06月17日 in YouTube
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最近 YouTube では「切り抜き動画」が流行っています。チャンネル登録者が多い有名人が、自身の動画における切り抜き動画を許可している人も多くなったことが一つの要因ではないでしょうか。

自分自身がネタを考えたり話したりする必要がなく、動画をうまく切り抜きまとめることで多くの視聴者を呼び込むことができるので、切り抜き動画のチャンネルを運営する人、これから運営しようと思っている方がとても多いですね。

「有名なクリエイターと繋がりたい」「クリエイターの情報をより多くの人に拡げたい」「クリエイターの役に立ちたい」という想いでやっている方もいますし、決して切り抜き動画そのものが悪いとは思いません。

しかし、切り抜き動画という手法で収益化して楽して稼ぐため、効率的に稼ぐために行っているチャンネルもあります。

しかしながら、今後 YouTube でどのように扱われていくかは分かりません。実際、私のところにも切り抜き動画をベースとしたチャンネルの収益化審査が通らないという相談が多くなっています。収益化できていたとしても停止することもあります。

「もう切り抜き動画では収益化できないのか?」
「切り抜き動画で何に注意すれば良いのか?」
「収益化するためには何が必要なのか?」

今回はこれらのことについてご紹介していきます。なお YouTube でも同様の内容を動画でご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。

著作権をクリアしていることは大前提

まず他者の動画を切り抜いて公開するわけですので、著作権など権利的な問題をクリアしていることは大前提です。

たまに「収益化するつもりはないから大丈夫」と言っている方もいますが、著作権など権利的なことは収益化するしないは関係ありません。必ず本家クリエイターの許可をもらうようにしてください。

音楽素材に注意する

切り抜き動画を許可している本家クリエイター側も注意しなければならない内容ですが、BGM や効果音等の素材の使い方についてです。

例えば本家クリエイターが有料で BGM や効果音等の音楽素材を購入して動画に流していたとします。切り抜き動画の作成者が、その音楽素材が流れている部分も含めて切り抜き動画を公開したらどうなると思いますか?切り抜き動画を公開した人は著作権侵害になる可能性が高いです。

切り抜き動画と音楽素材

音楽素材を提供する多くのサービスでは、有料で購入した人のみ、もしくは特定のチャンネルのみで素材の使用を許可しています。

そのため、切り抜き動画を公開する人も同じ音楽素材を購入して使用する権利を得なければ、著作権を侵害してしまうことになる可能性が高いわけです。

音楽素材に関わらず、写真素材や動画素材などでも同じことが言えますので、本家のクリエイターが使用している素材の権利関係もしっかりと調べておく必要があります。

再利用されたコンテンツ

切り抜き動画のチャンネルが、収益化の条件を満たしても審査に合格できない原因になる理由の一つが「再利用されたコンテンツ」です。収益化できていたチャンネルであっても、収益化が停止する原因にもなります。

「再利用されたコンテンツ」がどのようなものかは「YouTube のチャンネル収益化ポリシー」のページにはこのように記載されています。

再利用されたコンテンツとは、独自の解説や教育的な価値を十分に付加せずに他者のコンテンツを再利用しているチャンネルを指します。

「他者のコンテンツを再利用しているチャンネル」とはっきりと記載されていますね。切り抜き動画というのは、本家のクリエイターが許可していたとしても他者のコンテンツ(動画)を再利用していることになるため「再利用されたコンテンツ」を理由として収益化できないことが多いのです。

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収益化するために必要なこととは?

とは言っても、切り抜き動画を公開しているチャンネルで収益化できているチャンネルはたくさんあります。つまり収益化できるかどうかを分ける判断材料があるということです。

先程ご紹介した「再利用されたコンテンツ」の中に「独自の解説や教育的な価値を十分に付加せずに」と記載されていました。逆に言えば、独自の解説や教育的な価値を十分に付加すれば大丈夫ということになります。

また同じページには「収益化が許可されるコンテンツ」についても記載があります。

このポリシーは、収益化されるコンテンツが視聴者に付加価値を与えるオリジナルのコンテンツであることを意図したものです。自分で作成したものではないコンテンツに対して面白いコメントや思慮深い見解を追加した場合は、コンテンツをなんらかの形で変更したことになります。

面白いコメントや思慮深い見解を追加した場合であれば許可される可能性があるということですね。「思慮深い(しりょぶかい)」は「物事を慎重に注意深く考えること」を言います。

つまり動画を切り抜くだけではなく、その動画に対して自分自身の解説などの価値を付けなければならないわけです。

よく「テロップを入れれば大丈夫なのか?」と質問されます。テロップも付加価値の一つにはなるでしょうが、YouTube が考える「独自の解説や教育的な価値」や「面白いコメントや思慮深い見解」に該当するかは微妙なところではないかと思います。

まだ切り抜き動画が流行りだした最初の頃であれば、うまく編集してまとめるだけでも、またテロップを入れるだけでも収益化できていたのかもしれません。

しかし今は多くの人が参入するようになり、同じクリエイターの切り抜き動画が YouTube に非常に多くなってきました。興味のない視聴者からすると、切り抜き動画ばかりがおすすめや検索結果に表示されると邪魔でしかありません。

過去に流行ったスクロール動画が収益化できなくなってしまったように、本当に独自の価値を付けている切り抜き動画でなければ、収益化できなくなっていく可能性があるのではないでしょうか。例えば音声だけを切り抜いて、より分かりやすいアニメーション動画にする。本家動画に対して自分の意見や解説を映像や音声も含めて追加するなどです。

もしこれから切り抜き動画を始めるのであれば、どのような価値を付けられるかを十分検討してみてください。

執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。