YouTubeでもYMYLとEEATは要注意!このジャンルが規制対象に?

YouTubeでもYMYLとEEATは要注意!このジャンルが規制対象に?
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2025年01月17日 in YouTube

今回は、YouTube で今後規制されるのではと推測しているジャンル、また既に規制されていると考えられるジャンルについてです。

これをご覧の方には YouTube チャンネルを運営ししている方、もしくは今後 YouTube を始めようとされる方が多いと思います。チャンネルの運営で大事だと言われているのがジャンルやテーマ選びですね。視聴回数やチャンネル登録者の伸びだけでなく収益にも大きく影響するため、非常に重要です。しかし、視聴者の多さやコンテンツの作りやすさだけで判断するのは危険です。

例えば、2人のクリエーター(YouTuber)がいたとしましょう。

😊 1人目の高木さんは株の情報を発信するチャンネルを運営しています。彼は、専門家監修の情報や、金融庁などの公的機関のデータに基づき、難しい金融知識を分かりやすく解説。投資のリスクも丁寧に説明することで、視聴者から信頼を得ています。その結果、チャンネル登録者数は順調に伸び、企業案件も増え、収益も安定しています。

🥲 一方、もう1人の斎藤さんは副業系のチャンネルを運営していました。彼は「AI で誰でも簡単に稼げる!」といったキャッチーな言葉で視聴者を集めましたが、その根拠は乏しく再現性も低く、リスクの説明も不十分でした。最初は注目を集めましたが、次第に視聴者が離れ、チャンネルの評価も下がってしまいました。

この2人の違いは何でしょうか?実は、今後 YouTube でも重要になる「YMYL」と「E-E-A-T」という概念が大きく関係しています

「何なのその4文字のアルファベット2つ…」と思われるかもしれませんね。ご安心ください。今回は YouTube でクリエイターが知っておくべき YMYL と E-E-A-T の基本から、具体的な対策までを分かりやすく解説します。

このページではテキストでもご紹介していますが、動画もご用意しておりますのでお時間がある方はぜひご覧ください。

YouTube でも注意すべき YMYL コンテンツとは?

YouTube でもYMYLを考慮すべき理由

まず YMYL とは「Your Money or Your Life」の略です。

この YMYL は Google の検索品質評価ガイドラインというもので定義されている概念で、「人々の生活、健康、経済状況、安全、幸福などに直接影響を与える可能性のあるトピック」を指します。

主に Web サイトに関してのガイドラインなのですが、YouTube であれば「チャンネル」や「動画」などのコンテンツに置き換えて考えることができます。

「検索の話でしょ?」と思いますよね。確かに、YMYL は「Google 検索の品質評価ガイドライン」で定義された言葉です。しかし、YouTube も無関係ではありません。今回ご紹介するジャンルやテーマの一部では、既に規制されています

近年、フェイクニュースや誤情報による被害が社会問題化する中で、プラットフォーム側の責任も問われるようになっています。YouTube も例外ではありません。例えば YouTube でフェイクニュース(嘘の情報)が公開されていれば「YouTube は何をやっているんだ!ちゃんと取り締まって!」「YouTube も悪者に加担しているのか」など叩かれる対象となっていますね。

例えば、有名なインフルエンサーや起業家、政治家が実際に話しているような映像を AI で作成して、暗号資産や現金を振り込ませるような詐欺が多発しています。AI の進歩によって、今まで以上に本物と偽物の区別が付かないようなコンテンツを作成できるようになるため、よりプラットフォーム側は慎重になっていると考えられます。

特に、人々の健康やお金、生活に直接影響を与える可能性のあるジャンル、つまり YMYL に該当するテーマでは、情報の信頼性が非常に重要です。

YouTube で注意すべき YMYL テーマ

このような背景もあり、特に YMYL に関連するジャンルでは品質を重視するようになってきています。具体的にどのようなジャンル・テーマが YMYL に該当するのか見ていきましょう。

  1. 財務に関する情報
    投資、税金、不動産の購入、保険など、お金に関連する情報を提供するコンテンツ。
    【YouTubeでの例】株式投資の分析、節税方法の解説、住宅ローンの選び方など。
  2. 医療に関する情報
    健康・病気・薬・栄養・肉体的・精神的なものも含めた健康に関するコンテンツ。
    【YouTubeでの例】病気の症状解説、健康的な食事の紹介、メンタルヘルスの悩み相談など。
  3. 法律に関する情報
    結婚、離婚、相続、契約など、法律に関するコンテンツ。
    【YouTubeでの例】離婚の手続き解説、遺言書の書き方、消費者トラブルの対処法など。
  4. 公的な情報など
    災害の対応サービスや国際的な出来事など、行政や公的機関に関するコンテンツを意味します。
    【YouTubeでの例】災害時の避難方法、選挙関連など。

もしこれらに関するコンテンツに誤った情報が含まれていると、ユーザーが損害を被ったり、不幸になったり、また生命に影響が出る恐れもあります。Google はユーザーをこのような不利益から守るために YMYL に関連する品質の評価を重視しているということです。

YMYL コンテンツの品質が低いとどうなる?

推測も含みますが、これらのコンテンツに関して品質が低いと判断されれば、今後規制されて YouTube 検索や関連動画での露出が減ったり、広告が外れてしまう可能性も考えられます。

YouTube のコミュニティ ガイドラインでは

  • 誤った情報に関するポリシー
  • 選挙の誤った情報に関するポリシー
  • 医学的に誤った情報に関するポリシー

などのポリシーによって、特に誤った情報については厳しくなっています。

お気付きの方も多いと思いますが、既に YouTube でも健康関連(特に病気関連)、災害、戦争・紛争などの情報は、専門家や大手ニュースチャンネルが提供している動画が表示されやすいです

また、これらの情報を扱うコンテンツは収益化が制限され広告が付かなくなることもあります。コロナが流行した時、ロシアとウクライナの戦争、地震などの震災時には収益化が制限されました。

視聴者からしても、情報の正確性が不明確なものや誤った情報を目にすれば、そのチャンネルから離れていきます。エンゲージメントも悪くなり、いずれ動画がインプレッションされなくなるでしょう。

YouTube や視聴者から品質が高いと評価されるには?

 YouTube でも重要なE-E-A-Tとは

あくまでも「より品質の高いコンテンツにしましょう」と言っているのであって、決して YMYL に関連するコンテンツを作ってはいけないと言っているのでありません。では「どうやったら品質が高いと評価されるのか?」と思ますよね。

そこで重要なのが「E-E-A-T」と呼ばれるものです。これも「検索品質評価ガイドライン」に記載されている内容で、E-E-A-Tとは「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「TrustWorthiness(信頼性)」の頭文字を取ったもので、コンテンツの信頼性を示す重要な指標です。

これらは YMYL に関わらず、今後の YouTube 運営で重要となる「視聴者のファン化」や「コミュニティの形成」でも必要な内容です。詳しくはこちらをご覧ください。

経験(Experience)

そのコンテンツを作成する人の体験談などを含めるということです。この「経験」は2022年12月に追加されたもので、E-E-A-T の中でも特に注目されている内容です。

単なる知識や常識、情報は、他者コンテンツをもとにしてコピーしてしまうことも可能です。しかし体験に基づいた情報は、一次情報としての価値が高く、独自性の高い唯一無二のコンテンツとなります

ただ注意が必要なのが、あなたの経験したことが情報として正しいとは限らないことです。例えば「病気になった時に特定の食品を食べたら治った」という経験は、医学的根拠がなければ誤った情報と判断される可能性があります。発信する内容には十分気をつけなければなりません。

専門性(Expertise)

専門性というのは、その分野に関する専門知識を持っているのかということですね。もし医療のことを話すのであれば医者や看護師などの医療従事者が該当するでしょうし、税金のことなら会計士や税理士が該当するでしょう。例えば素人がニュースなどの情報を元にして病気について語るのは違うということですね。

資格だけでなく、長年の研究や実務経験なども専門性として評価されるでしょうし、YouTubeでは、特定の分野に特化したチャンネル運営も専門性をアピールできます。

権威性(Authoritativeness)

権威性は、コンテンツを作成する人はその分野で権威を持っているのかということです。権威という言葉が固くて難しいですが、その分野で高い評価を得ている人かどうか、または多くの人に認められている・一目置かれている人かどうかです。

例えば法律の専門家である弁護士であっても、弁護士になりたての新人よりも「この道30年のベテラン」と呼ばれる弁護士の方が一般的に権威性は高いですね。社会的な背景や地位も権威に影響してくると考えられます。

YouTube では、チャンネル運営期間、登録者数、再生回数、高評価の数なども、視聴者からすると権威性を判断する指標となります。また、信頼できる専門家との対談動画などを配信することで、自身の権威性を高めることができます。

信頼性(TrustWorthiness)

信頼性は、コンテンツを作成する人やコンテンツそのもの(情報)が信頼できるのかということです。

専門知識も権威もある人だったとしても、例えば悪意のある情報が多いとかフェイクニュースが多いとか、その人やその人の情報が信頼できないようなものではダメですよね。情報源の明示、情報が正確かファクトチェックを実施する、誤情報の訂正など、具体的な行動が信頼性を高めます。

YouTube では、コメント欄での誠実な対応、顔出しや声出しも視聴者に信頼してもらえる一つの手段となります。

自分の E-E-A-T の要素が少ない場合はどうする?

自分の E-E-A-T の要素が少ない

「E-E-A-T が重要と言われても、自分は専門家ではないし、権威もないし、信頼性があるかも分からない。」という方も多いのではないでしょうか。もし今自分の E-E-A-T の要素が欠けているのであれば、コツコツと積み重ねていけばいいだけです。少なくとも自分の経験を入れることはできると思います。

さすがに例えば医療に関することを素人が資格もなく話すのは厳しいかもしれませんが、そうでなければ自分がコンテンツを提供していくジャンルに関して勉強して専門的な知識を蓄えていけばいいですね。そうしながら情報を提供していけば「○○の分野なら××チャンネルの××さんだよね」と権威性も信頼性も得られるようになってくるでしょう。

もし「勉強しながらコツコツ積み重ねていくのなんて無理」という方は YMYL に関連するジャンルには手を出さない方が良いかもしれません。

アルゴリズム ハックではない

今回の内容は YouTube アルゴリズム対策の話のように思われた方もいるかもしれません。もちろんアルゴリズム的な要素はあると思いますが、正直アルゴリズムのことは誰にもわかりません。

YMYL や E-E-A-T は結局のところ、視聴者に害を与えないこと。そして、視聴者が信頼し、安心してコンテンツを楽しめるようにする。すごく基本的な理念に基づいていると言えます。

視聴者のことを第一に考え、誠実に、そして真摯にコンテンツ制作に取り組んでいれば、おのずと E-E-A-T は高まり、YouTube からも視聴者からも評価される可能性が高まります。

執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。